クシュン、クシュン

6月のはじめに人事異動の発表がありました。
とはいえ、これはお客さんの会社の話。
K課長をはじめ、事務所にいるリープの仕事に関係する人たちはそのままですよ。
ホッと一安心ってことで。
これが1年後、2年後だと分からないんだけどね。まずは一年間はこの体制で。
ってことで、6月の下旬に歓送迎会がありました。

いつものように歓送迎会には、作業着からワイシャツにネクタイに変えて出席している僕は、車の中で着替える事にしました。(もっと別の場所なかったのかよ)
開始が19時だったので、逆算して仕事を終え、車に乗り込みます。
そして着替えを済ませて会場にいざ出発と思い、エンジンをかけようとしました。
すると。

クシュン、クシュン……

という音をたてて車が沈黙しました。
あれ? っと思い、もう一度エンジンをかけても、エンジンがかかる様子もなくクシュンクシュンとやる気をなくした様に無言になります。
明らかにいつもと違う。

最近、エンジンがかかりにくい事はあった。でもその時は、ンギュギュギュギュギュッ! ブルンッ!的な感じで、なんとか頑張ってエンジンをかけてくれてものです。
だけど、今回は頑張る気配もない。っていうか、頑張れないよ……と言っているようです。真っ白に燃え尽きた状態。
車が燃え尽き症候群状態に!

これは……普通に考えて、バッテリーがあがった?
車のライト系統を確認しましたが、まったく使用した形跡がない。
つまりはよくあるライトつけっぱなしによりエンストではない。ラジオもつけっぱなしではなかった。だったらなぜ!?
もしや車が壊れたとか?
なぜこんな日に!なぜ!WHY!?(出川哲郎ではない)

どうしていいかわからない。
こんな時、人はどうするのか……

「……よし。20分ぐらい様子を見よう」

現 実 逃 避 !?

いやいや、もしかして時間おいたらエンジンかかるかもしれないじゃん!
奇跡が起きるかもしれないじゃん!
あきらめたらそこで試合終了ですよ!
(現実逃避は諦めじゃないのか?)

――あっと言う間に20分経過。
えーい、ままよ!(これを本当に心の中で口走るとは思わなかったww)
と、エンジンをかけてみるも、やっぱりクシュン、クシュン……エンジンがかかりません。
うんとこしょ、どっこいしょ、それでもえんじんはかかりません。(おおきなかぶ状態!)
……やはり現実逃避は駄目だったか。(そりゃそうだろ)

やはりここはJAF辺りに電話して助けてもらうしかないのか。
あぁ、嫌だ! そんなの嫌だ!
恥 ず か し い !(言ってる場合か!)
まったくわけがわからないよ……
こうなったらキュウべえと契約して魔法オジサンになってでもエンジンをかけたい!(キモい)

っていうか、歓送迎会もう間に合わない!
(20分も現実逃避してるからだろ)
しぶしぶ幹事の社員さんに遅刻する電話する。
すると幹事さんは「大丈夫ですかww事務所へ報告へ言ってみたらどうですか?」と言われる。

歓送迎会で事務所には誰もいないのですが、別部署の事務所には人がいます。
……そうか。バッテリーがあがってるだけなら、ケーブルを繋いでエンジンかけてもらえるかもしれない!
さすがは幹事さん!(幹事関係ないし)

ここは会社の駐車場。つまりすぐに会社に戻れる!
ここは配送センター、もしかしたらケーブル持っている人もいるかもしれない、っていうかいるだろ絶対!
あぁ、なんか希望がわいてきた!
さっそく、会社へ戻り、総務的な事務所へ行きます。
とはいえ、定時の終業時間は二時間近く過ぎている状況。
果たして人はいるのか……っって、二人だけいた!

地獄に仏! 砂漠にオアシス! 事務所に人!
もうこのチャンスは逃さねえぞとばかりに事務所へ入り、二人に事情を話します。
すると、一人の事務員さんが、別部署のケーブル持っている人に連絡してくれました。
おおっ、女神! 女神じゃ!(実際は事務員のおばちゃんですが……)

ってなわけで、バッテリーを繋いでもらい、無事エンジンをかけることに成功しました。
結局はバッテリーあがってただけなのね。
助けてくれた人たちにお礼を言って、歓送迎会に向かいました。

会場を向かう途中、考え事をしていました。
やっぱりバッテリーがあがるようなことはしていない。
でもバッテリーがあがって……どうして。

――はっ。
しばらく考えた後、あることに気づきました。
今日、新人を説教した!
まさか、新人の祟り?
日ごろ色々言われている新人の怨念が起した怪奇現象。
……なんてね。
(だただのバッテリーの充電切れじゃないの?)